元の家は、ハウスメーカーで建てた木造3階建ての家です。施主奥様Kさんは『木の家にしたかった』のですが、まったく『木』を感じられない家で、だんだん家を嫌いになってしまいました。
ご縁があって私に声を掛けていただき、築3年目に2階3階をリノベーションしました。
その1年後、残っていた1階をリノベーションしました。その内容をご紹介します。
▲玄関
玄関に入ると正面に、既製品の収納を使った下駄箱と飾るスペースがありました。
その感じがなんともなじめるものでなくて、お嬢さんに「仏壇みたいだから何も飾らないで!」と酷評されたほど。
「一体何が悪いんでしょう?」とKさんから聞かれました。いろんな試行錯誤をされてきたんですが。。
▲工事前の玄関
既製品の下駄箱と吊戸収納を撤去し、その面の壁に杉板を張りました。
Kさんが作りたかった『木の家』を、家に入ってすぐに感じられる場所であり、飾る物が引き立つ場所になりました。
元々下駄箱のあった左奥にはシュークロークがありました。正面からは見えない位置に棚があったんですが、なんとなく物置的な感じになっていました。
そこを作り変えました。Kさんが「大好き」という合板を壁に張り、正面から見えてしまいますが、オープンな棚を作りました。とても気に入っていただいています。「男前」だそうです。
▲新しくなったシュークローク
▲Kさんの寝室
工事前は和室でした。家を建てた時に「あってもいいか」と思って作られた部屋だそうですが、天井が低く、窓が小さく薄暗く、湿気を感じ、家族の誰も近寄らない部屋でした。
「和室」とういう要望に対して、洋室の床の一部を畳にしただけで、中途半端。その半端さが気持ちの不安定を生み、好かれない部屋だったと思います。
ともかく、どこもかしこも住む人に好かれない『可哀そうな家』でした。
部屋の入口の戸をオーダーの木製引戸に作り変え、床に杉板を張りました。それだけですが、とても気持ちいい部屋になりました。窓が小さく薄暗いと思っていた部屋も、床に反射する光が明るくなった事で、「薄暗さ」は感じなくなったと思います。寝室として丁度いい明るさじゃないかと思います。
▲工事前の和室
▲上りやすく抜けのある階段
『嫌い』だったところはまだあります。それが階段。
ハウスメーカーの家に限らずほとんどの家は、階段をただ上り下りするため”だけ”の場所としか考えません。「気持ちよく上り下りできるか?」なんて基本的には考えないでしょう。
この家ももちろんそうでした。3階建ですから、1階から2階へ上る階段の上には、2階から3階へ上る階段があります。上の階段の下面、つまり、1階から2階への階段の天井は当然のようにボードが張られ、薄暗さと狭さしか感じない場所でした。
しかも、ギリギリの寸法で作ったものですから、一段の奥行が狭く、上り始めてすぐ右に曲がるあたりの段が窮屈でした。落ちそうになった事もよくあったととか。
そこで1~5段目までの段の奥行を数センチずつ広げました。既存の段板の上に板を張り、『木の階段』にも作り変えました。
ほんの数センチ大きくなるだけで、上り下りのしやすさがぜんぜん変わります。Kさんも「ぜんぜん違う!」と喜んでくれました。
▲工事前
▲木を張って数センチずつ奥行を広げた階段部分
階段の問題のもうひとつ、「薄暗い」「抜けが無い」という問題も解決しました。
これは、前回のリノベーション工事で、さらに上の階段でもやっているのですが、階段の一部の天井をはがし、上の階段の立上り部分を抜きました(鉄骨で補強してます。)。そうする事でほんのりと明るくなり、空気が抜けるようになります。Kさんが欲しかった「抜け感」は実現しました。
▲階段の天井をなくし立上り部分の板を抜いた。
(もちろん、建築の法規に合うように作っています)
それからもうひとつ『嫌なコト』がありました。
それは玄関の床のタイル。今は、ともかくクレームが起きないよう材料メーカーは考えます。床のタイルももちろん。玄関床のタイルは基本的には外部で使うものと同じものを使います。つまり、濡れても滑りにくい物。
最近の外部用タイルの多くは、表面に小さな粒粒があり滑らない効果を出しています。が・・汚れが付きやすい?落ちにくい?という逆の効果もあるようです。Kさんの家でもそうでした。玄関掃除をよくやってくれる上のお嬢さんからも”文句”が出ていたそうです。それまでが白いタイルでしたから「泥が目立って嫌」とKさんも言いました。
▲工事前
そこで「黒っぽくて、滑らない程度になめらかなのがいい」という、これも相反する要素のタイルを探しました。
▲LIXIL カリッサ
(水がさっと浸み込み?掃除もしやすく、とても好評です)
▲階段から玄関を見る
(家が締まって見えると大好評)
これでこの家の『嫌な部分』はほぼ無くなった・・はず。
出来上がるとすぐ『嫌い』になられてしまったこの家は、今はもう『好き!』と思わるようになりました。
いくらかは元の家の部分である『既製品のフローリング』や『ドア』が残っていますが、それらを寛大な心で見れ、「特に嫌とは思わない」ようになったそうです。
2年続けて工事しましたが、もうしばらくは無いそうです。家を好きになって暮らす事に余裕ができ、時間や瞬間を味わえるようになってもらえて、本当によかったです。
元のハウスメーカーの家である事は変わりないのですが、「ほぼ志田さんが設計した家のよう」とKさんは言ってくださいました。
これでお終い!・・・と思っていたのですが、実はもうひとつ追加がありました。
食卓のテーブルを頼まれました。
平面は細長い家です。その中で、まだまだお子さん達が家の中で遊びます。家族5人。そんな条件を考えて、細長いテーブルを作り、壁に寄せて使う事を提案しました。
そしてできたのが、奥行70cm・長さ152cmのテーブルです。
▲満足いただいています。
これで、本当にお終い!
■ 建築概要
建築地 | :東京都板橋区 |
---|---|
施主 | :夫婦+子(3人) |
構造規模 | :木造3階建て |
2階LDK面積 | :23.1m2(14帖) |
施工 | :(株)ミキホーム(幹建設) 担当:宮前 |
中板橋の家(R)(1期)
中板橋の家(R) 施主インタビュー
中板橋の家(R) 施主からの手紙
中板橋の家(R) 2018年見学会・参加者の声
中板橋の家(R) 2019年見学会・参加者の声
ブログ内記事 Home Room [ Works ] 中板橋の家(R)
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